2016年12月26日
一般歯科

歯の神経をとると歯はどうなる?

歯の神経をとると歯はどうなる?

歯の神経の働き

歯の中心部には空洞があり、神経が通っています。歯のような硬いものの中に神経が通っていても、あまり意味はないと思うかもしれません。しかし、歯の神経にはさまざまな役割があるのです。

歯の神経は、歯の表面に起こった変化を察知する働きがあります。虫歯になった時に痛みを感じたり、冷たいものが沁みたりするのも、歯の神経が働いているからです。

歯の表面の変化を察知すると、人間の体は歯をさらに硬くしたり、傷ついた部分を再石灰化で塞いだりして、元の状態に戻そうとします。そういった対策がとれるのも、歯の神経の働きがあってこそなのです。

歯の神経を抜いてしまうと

歯の神経を抜くと、歯にどんな変化があっても痛みや違和感を感じなくなります。そのため、虫歯になっていることに気づかず、症状が進行してしまうことがあります。また、歯の表面が傷ついても察知できないため、再石灰化などの対策もとれなくなり、虫歯になりやすくなってしまいます。

普段はあまり意識していませんが、人間は歯の表面でも温度を感じています。歯の神経を抜いてしまうと、その温度も感じられなくなります。1、2本程度ならほとんど影響はありませんが、すべての歯の神経を抜いてしまうと、食事も美味しく感じられなくなってしまうのです。

また、歯の中心部の空洞には、神経以外に毛細血管も通っています。神経を抜くときには、この毛細血管も一緒に取り去ることになります。すると、歯に水分や栄養が行き渡らなくなり、歯は枯れ木のような状態になって死んでしまいます。

歯は死んでも抜け落ちてしまうわけではありませんが、生きていた時に比べると強度が弱くなります。そのため、硬いものを噛むと割れてしまうことがあります。

さらに、歯が死んでしまうと、新陳代謝も行われなくなります。すると、食物の色などが沈着して、歯は次第に変色していきます。

歯の神経を抜かなくてはいけない場合

最近では、歯の治療をする時でも、できるだけ神経を抜かないようになっています。

しかし、歯に激痛がある場合には、虫歯菌が神経の部分にまで入り込んでいるため、神経を抜かなければなりません。また虫歯によって、歯の根の先に膿が溜まっている状態になると、神経を抜いて消毒しなければならなくなります。

神経を抜くと歯は死んでしまいます。でも、虫歯にならないよう歯の状態をチェックして、硬いものを噛まないなど気をつけて生活していれば、十分に歯を長持ちさせることができます。