2017年04月07日
矯正歯科

噛み合わせからアルツハイマーに効果がある?

噛み合わせからアルツハイマーに効果がある?

噛み合わせは、体や脳の健康にも大切ということがわかってきています。とくに、「噛む」動きは脳を直接刺激し、活性化につながると言われています。

最近では、アルツハイマーを代表とする認知症の予防と噛み合わせの関係も指摘されるようになってきています。

認知症と噛み合わせの関係

神奈川歯科大学などの研究では、歯が少なく噛み合わせが困難な人は、認知症になるリスクが高いという結果がでています。噛み合わせの状態がよく、しっかり噛んで食べられる人に比べると、何らかの問題があってきちんと噛めない人は1.5倍認知症リスクが高いとされています。
歯を失った上に入れ歯やインプラントの処置をせず歯が無いままの人では、さらに認知症リスクが2倍近くに高くなる可能性があります。

噛むことは脳を活性化させる

「噛む」という行為は、単純に食べ物を細かくするだけでなく、歯の根から歯根膜という部分を通して脳に刺激を伝え、脳の様々な部位を活性化することがわかってきています。あまり噛めなくなったり噛み合わせに不具合があり痛みなどが出た場合は、意欲や集中力が低下したり、うつ状態になったりする割合も高くなるそうです。

アルツハイマーの原因物質とも関連

認知症の患者さんの約半分を占めるアルツハイマーは、アミロイドβタンパクという物質が原因の1つにあげられています。歯のあるマウスと歯の無いマウスを使った実験では、歯の無いマウスの方はアミロイドβタンパクが脳にたまりやすいという結果が得られました。
また、記憶や学習に関わる海馬という部分の細胞の数も減っていたということです。

噛み合わせの心への働きかけ

噛むことは、物理的に脳へ刺激を与えるだけではなく、毎日の食事に関わり心へも影響を与えます。しっかり噛めないと食事の美味しさや楽しみも半減してしまい、さらに、噛み合わせの悪さが頭痛を引き起こしたり、体のバランスを崩す原因になってしまったりもして、心にもいい影響がありません。

アルツハイマーを代表とする認知症は、心との関連も深いと言われています。その面でも、認知症の予防に噛み合わせの改善は重要とされています。とくにアルツハイマーでは、日々の生活リズムや栄養バランスを整えることも予防や改善には大切と言われており、毎日の食事と関わる噛み合わせの問題は見逃せません。

治療した歯や入れ歯でも脳の活性化が可能

噛み合わせが上手くいかなくなる原因は、様々なものがあります。歯並びの問題、顎関節症、むし歯や歯周病の放置、つめ物やかぶせ物の不具合、歯を失った後の治療をしていない、合わない入れ歯を使っているなど、多くのことが関わります。

歯を失ったとしても、きちんと治療して合うインプラントや入れ歯を使用すれば、噛む能力はある程度取り戻すことができます。状態に適した治療をした歯や入れ歯なら、噛むことでの脳の活性化は可能と言われています。

噛み合わせの問題は歯科医院に相談を

噛み合わせに問題があって気になっていても、強い痛みや不自由が無ければそのまま放置してしまう人も多いようです。けれど、噛み合わせの不具合は、体や脳にも影響を及ぼす可能性があります。噛み合わせがアルツハイマーなどの認知症の直接原因というわけではありませんが、関わりの深さは専門医の間でも指摘されるようになってきています。

いずれにしても、お口の状態を整えしっかり噛める状態をできるだけ保つことは、脳や心身のためにも大切なことです。
噛み合わせで気になることがあるときは、歯科医院で相談しましょう。