2017年04月16日
インプラント

歯周病がある場合もインプラントはできるか?

歯周病がある場合もインプラントはできるか?

 歯周病は、歯を支えている骨の病気です。細菌の感染によって歯肉が炎症を起こし、進行すれば歯を支えている骨が溶けて歯が抜け落ちてしまいます。

 顎の骨に人工歯根を埋め込むインプラント治療にとって、歯周病はまさに天敵のような存在です。でも、きちんと治療して対策をとれば、歯周病であってもインプラントを受けられるのです。

 現在歯周病にかかっている人は、まず歯周病を治療してからインプラントを行うことになります。

インプラント前に歯周病を治療

 日本では、成人の80%が歯周病にかかっているといわれるくらい、メジャーな病気です。歯槽骨が溶けるまでは至らないものの、器具期が炎症を起こした経験のある人は多いことでしょう。歯科医院に通って初めて、歯周病にかかっていたことに気づく人も少なくありません。

 歯周病を引き起こす原因は、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌のかたまりです。食べかすの中で繁殖した細菌が、ねばりけのある物質を分泌して歯の表面にくっついたものです。

 現在歯周病にかかっている人は、お口の中に歯垢がたくさんある状態だと言っていいでしょう。もし歯を失った原因が歯周病なら、残っている歯も歯周病にかかっている可能性が。その状態のままインプラント治療を行っても、人工歯根と骨がうまく結合しなかったり、傷口が膿んでしまったりというリスクがあります。

 インプラント治療の前には、まず詳しく検査してお口の状態を把握します。その後、歯石の除去などのクリーニングを行います。軽度の歯周病なら、これで改善が期待できます。

重度の歯周病にかかっている場合

 歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨が溶け出してしまいます。歯周病が原因で歯が抜けてしまった場合、その部分の骨は薄く、もろくなっていると思って間違いないでしょう。

 その状態でインプラントを行っても、骨とうまく結合しなかったり、強度が足りなくなったりといったトラブルが起こります。そのため、まずはしっかりとした骨を作る治療を行います。

 骨の強度や密度を増やすには、骨移植や骨代替材の注入といった治療法があります。いずれも、数ヶ月から1年といった期間がかかります。

 また、歯周病が進行すると歯の位置が動いて、噛み合わせがずれてしまっていることも。その場合はインプラント治療の前に、歯並びの矯正が必要になることもあります。

 重度の歯周病であっても、インプラント治療が不可能というわけではありません。ただ、歯周病の治療にはインプラント治療以上の時間がかかることを覚悟しておきましょう。

インプラントを長持ちさせるために

 歯周病はいったん改善しても、毎日のブラッシングを怠るとすぐに再発してしまいます。歯周病治療には、患者さん自身が正しいブラッシング方法を覚えて、毎日きちんとお口のクリーニングをすることが不可欠です。

 正しいブラッシングは、インプラントのメンテナンスにも必須。正しいブラッシング方法を覚えることで、インプラントを長持ちさせることができます。

 ただ、歯周病にかかっている人がインプラント治療をすると、インプラントの寿命が短くなるというデータもあります。

 インプラント治療で後悔をしないためにも、まずは歯周病の治療をしっかりと行いましょう。その後も、毎日のブラッシングを徹底する、定期的に検診を受けるといった、歯周病の再発を防ぐ対策をとるようにしたいものです。