2017年08月09日
一般歯科

なぜ歯ぎしりするの?

なぜ歯ぎしりするの?

主に夜間無意識に行われる歯ぎしり。なぜ人は歯ぎしりをするのでしょうか?

歯ぎしりをするのは人間だけ?

上下の歯をすり合わせたり噛み合わせたりする歯ぎしり。主に睡眠中に見られる歯ぎしりは、人間特有のものと言われています。その原因については諸説ありますが、大元は「野生の本能の発散」ではないかとも言われています。

野生で生きる動物は、攻撃のときに牙や歯をむき出しにする行為をしますが、元々歯を中心にした口内や顎などの器官は、「食べる」「獲物を得る」「身を守るために相手を攻撃する」という野生の本能と深い関わりがあるとされています。

野性の動物にはそのような本能が発動し、牙や歯をむき出しにして攻撃性を見せます。けれど人間生活においてはそのような機会は無くなり、攻撃性の本能は脳の理性の部分が抑えるようになりました。

しかし、野生の攻撃性は本能にインプットされて残っているため、睡眠中に歯ぎしりという形であらわし、社会の中で理性的に生きるためのバランスをはかっているのではないかという説があります。

歯ぎしりとストレスの関係

「精神的なストレスがあると歯ぎしりがひどくなる」とよく言われますが、実際に、歯をすり合わせたり噛み合わせたりすることで、脳内のストレスホルモンが減るという研究結果もあります。

たしかに、昼間におこる歯ぎしりや喰いしばりは、激しい怒りを抑えているとき、悔しいとき、緊張が強いときなどによく見られます。ただ、歯ぎしりに関わる「ストレス」とは、精神的なストレスだけに限りません。

例えば、口内の衛生状態が悪かったり、噛み合わせが不具合だったりすると、身体的な苦痛を感じやすくなり、ストレスがかかります。噛み合わせが直接歯ぎしりの原因になるという説は、現在では否定されていることが多いですが、それによって筋肉の緊張や精神的な苦痛を増やし、歯ぎしりの原因となることは十分に考えられます。

それ以外にも歯ぎしりには、顎や口まわりにおこった緊張を緩和させて日中の歪みを調整する役割もあると言われ、歯にダメージを与えない程度の軽い歯ぎしりなら、とくに問題視する必要はないと言われています。

しかし、歯ぎしりの音が周囲に聞こえるほどの状態になったり、歯や歯周組織に何らかの影響がでていたりするとなると問題で、歯ぎしりの引き金となるような口内環境のストレス、顎周辺のストレス、精神的なストレスや疲労が積み重なっていないかをチェックする必要があるかもしれません。

歯ぎしりとの関連性が指摘されている生活習慣

昼間に緊張の強いタイプの人は、夜間の歯ぎしりもおこりやすいという説があります。とくに最近は、歯を左右にすり合わせる歯ぎしりより、上下の歯を必要以上に噛み合わせる喰いしばりや、常に歯が接しているTCHという状態の人が増えているようです。

歯ぎしりも含め、喰いしばりやTCHの原因の一部になっていると考えられているのが、長時間スマホやパソコンの画面に向かう生活習慣です。スマホやパソコンに向かっていると思わず時間を忘れ、集中した作業の場合には無意識に歯を喰いしばってしまうこともあるので注意が必要です。

歯ぎしりの原因は1つに特定できず、人によって様々なものが複合されているようですが、精神的なストレス、口内環境や噛み合わせの不具合による身体的なストレスなど、負担が積み重なったときに発生するのではないかと考えられています。