2017年08月13日
一般歯科

歯ぎしりが歯を壊す?

歯ぎしりが歯を壊す?

軽いものなら多くの人が無意識に行っていると言われる歯ぎしり。そのすべてが歯に害を与えるというわけではありませんが、程度が強くなると、歯や歯周組織、顎の関節などに様々な悪影響をおよぼす可能性が指摘されています。

問題となるのは、ギリギリと音が鳴るほどの強い歯ぎしり、歯の上下をカチカチと過度にかみ合わす状態、歯をすり合わせることはないものの不必要なときに歯をグッと噛みしめる喰いしばりなどが慢性化することです。これらの状態が続くと、歯はもちろん、周辺の組織のダメージにつながってしまいます。

強い歯ぎしり・喰いしばりが及ぼす影響

音が鳴るような強い歯ぎしりや喰いしばりが及ぼす影響は、どのようなものがあるのでしょうか?

歯がすり減る・ヒビが入る

強い歯ぎしりや喰いしばりで必要以上の力が歯にかかり続けると、歯がすり減ったり、縦にヒビが入ってしまったりすることがあります。慢性的な歯ぎしりや喰いしばりの習慣がある人では、本来尖っているはずの犬歯(前から3番目の歯)が平らになっていたり、奥歯の高さが明らかに減っていたりする状態が見られます。

歯の根や歯肉に炎症がおこる

過度の力が歯の根にかかり続けると、根や歯肉の部分に炎症がおきることがあります。歯周病のある人はとくにその部分が弱くなりやすいので、注意が必要です。

詰め物や被せ物の寿命が短くなる

むし歯治療で詰め物や被せ物をしている場合、強い歯ぎしりや喰いしばりによって劣化が早くなったり、はずれやすくなったりすることがあります。とくに陶器のような材質の白いセラミックでは、知らない間にヒビが入ってしまうこともあります。

歯の根元にヘコミができる

強い歯ぎしりや喰いしばりの続いている人には、歯の根元部分にV字型のヘコミ(楔状欠損)が見られることがあります。

口内の骨が変形する

持続的に歯へ過度な圧力がかかっていると、口内の骨にも影響が及び、口内の天井部分の骨の中心部や、下顎の歯の内側の骨が出っ張ってくることがあります。

顎関節に異常がおこる

強い歯ぎしりや喰いしばりは顎の関節にも負担がかかり、顎関節(がくかんせつ)に痛みが走るなどの異常がおこることがあります。

顎や顔の筋肉の疲労が強くなる

強い歯ぎしりや喰いしばりによって負担がかかるのは、歯そのものだけではありません。顎や顔の筋肉にも疲労がたまり、そこから首や肩にも影響してひどい首こり・肩こりの原因となる場合もあります。

歯ぎしりや喰いしばりの改善には?

歯ぎしりや喰いしばりは夜間無意識に行われているものが多いですが、中には昼間に見られる人もいます。口を自然に閉じた状態で奥歯はどうなっているでしょうか。本来、物を食べたり力を入れたりする以外では、奥歯は噛みあうことがなく、わずかにすき間が開いているのが普通です。

けれど最近は、常に奥歯が噛みあってしまっている人も多いと言われています。本格的な歯ぎしり・喰いしばりの検査や治療には専門の歯科医院での対処が必要ですが、日中のものは自分が意識することによって改善することができます。

昼間に喰いしばりの見られる人は、夜間の歯ぎしり・喰いしばりの可能性も高くなります。普段の生活の中で無意識に歯が強く噛みあっていることに気づいたら、少し意識をして力を抜くように心がけてみましょう。姿勢や精神的緊張の強さと歯ぎしり・喰いしばりの関係も指摘されているため、心身全体のリラックスも大切です。