2017年12月03日
一般歯科

虫歯の原因は?

虫歯の原因は?

痛みを伴うだけではなく、治療の際に「歯を削る」という行為をしなければいけない虫歯。この虫歯、しっかりと歯磨きをしていたにも関わらずできてしまうことがありますよね。また、虫歯ができやすい人とできにくい人という違いもあります。

今回はこの憂鬱な虫歯になぜなってしまうのか?虫歯の原因や治療法、虫歯を放置していると最終的にどうなってしまうのかなど見ていきましょう。

虫歯ができる工程とは

人に限らず、口の中というものは実に多くの「細菌」が存在しているものです。これら細菌や雑菌は歯の表面を覆っている「バイオフィルム」と呼ばれる、ぬるぬるとした膜の中に存在しています。

口の中が乾いたときなど、歯の表面に食べかすなどではない、ぬめぬめとした薄黄色のものを見つけたことがある方もおられるでしょう。これがバイオフィルムですね。

このバイオフィルムの中に潜んでいる細菌たちは、口中の食べかすなどから摂取できる「糖分」を栄養とし「酸」を出します。酸に触れた歯は溶かされてしまいますが、少々の浸食ならば人がもともと持っている「歯の再石灰化」によって修復されます。

しかし、修復できるからと安心はできません。歯磨きを怠ってしまったり、細菌たちの栄養である糖分を過剰に摂取してしまった場合などは、歯の再石灰化が間に合わず虫歯と呼ばれる状態になってしまうのです。

虫歯になる原因4つ

私たちが知らないうちに、口の中では虫歯菌との戦いが起こっていたのですね。では、再石灰化が追い付かなくなってしまうような、虫歯になりやすくなってしまう原因とはどのような物があるのでしょうか?

原因そのものがわかっていれば、事前の予防もしやすくなります。

1.歯磨きが不十分など口中の汚れ

一番の原因と言えることであり、反面予防しやすい原因とも言えますね。上記で紹介したように、口中に存在する雑菌たちや虫歯菌は、「糖分」を摂取することによって酸を放出します。
逆に言ってしまえば、雑菌たちのエサがなければ、酸を出されることもないということですよね。食後の歯磨きはもちろん、フロスや口内洗浄液などを使って、毎日のメインテナンスを怠らないようにしましょう。

2.虫歯になりやすい歯質

肌が弱い、髪の毛にパーマがかかりにくいなど、人の体質は千差万別。実は歯の質にも人それぞれ差異があり、虫歯になりやすい「歯が弱い」体質の方もおられるのです。

ここでいう歯の弱さは「エナメル質」の弱さ。エナメル質が弱かったり薄かった場合、菌が出す酸に対する抵抗力が弱く、再石灰化が追い付きにくく、虫歯の状態になりやすいと言えます。

3.唾液の質、量が少ない

口の中は常に唾液によって湿っていますが、唾液は食べ物の咀嚼(そしゃく)をしやすくするだけではなく、虫歯に抵抗するための役割もあります。そもそも唾液はアルカリ性の性質を持っているので、菌が出す酸を中和することができたり、食べかすが口内に残らないように押し流す役目があるのです。

しかし、この唾液の量が少なく口中が乾いていたり、アルカリ性の強さが人より弱かった場合など、やはり虫歯になりやすい口内環境だということが言えるのです。

4.虫歯菌が口中に多い

そもそも口中の虫歯菌が多いと、その分虫歯菌が出す「酸」の量も増えてしまいますよね。虫歯菌が多ければ多いほど、虫歯になりやすい口内環境だということができます。

虫歯菌や雑菌たちはバイオフィルムに存在する、と上記で紹介しましたが、他にも「プラーク」の中にも存在します。歯周病の原因でもあるプラークも雑菌や細菌の塊です。最初の原因と少し被りますが、口内の清潔を保つことはあらゆる意味で虫歯予防に効果的になるのです。

虫歯の治療法

ここまでは虫歯になってしまう工程や、原因そのものを見てきました。

再石灰化が間に合わなくなってしまった虫歯では、自然治癒を期待することはできないので、ここからは虫歯になってしまった後の治療法について詳しく見ていきましょう。

ごく初期(CO)はフッ素塗布

歯の表面がわずかに変色している、痛みを感じることもほとんどないといった、ごく初期の虫歯の場合は「フッ素塗布」などの治療が行われることとなります。基本的にこの段階で歯を削ることはなく、歯磨きの仕方を再度レクチャーされる程度がほとんどとなります。

フッ素塗布を行ってもらい、しっかりと口内のメインテナンスをすることによって、歯の再石灰化を待つという段階ですね。

第2、第3段階(C1、C2)は歯を削ることに

穴が開いてしまっているけれど浸食度合いがエナメル質までの場合が第2段階、エナメル質にとどまらず、その下の象牙質まで浸食されてしまった場合が第3段階になります。

どちらも虫歯菌によって変色、もろくなってしまった場所を削り、詰め物をする治療がとられます。第3段階の場合、神経の近くまで虫歯が進行してしまった際には、神経を抜くという処置がとられることもあります。

第4段階(C3)は表面上に残る歯はほとんどなくなる

虫歯の進行が神経にまで及んでいる状態になります。激しい痛みを伴い、歯茎や歯の根っこに膿を持つ場合も多々見られます。この状態になってしまうと、多くの場合神経を抜き、歯の内部の部分だけを残してほとんどの場所を削られることとなります。

削り終えた後は詰め物ではなく、「かぶせ物」を施されることとなります。虫歯によって穴が開いた場所に詰め物を詰めるのではなく、かみ合わせを考えたうえでかぶせ物をするので、通院の回数も増えていきます。

第5段階(C4)では歯の保存は困難に

虫歯による酸の浸食により、ほとんど歯が残っていない状態を指します。ほとんどの場合神経は死んでしまっているので、痛みを感じなくなっていることも多いですね。

しかし、虫歯菌は残っているので治療の必要がないわけではありません。また、歯自体がなくなってしまうので、見栄えも悪くなってしまいます。

治療方法としては、すでに抜歯をする以外の方法がないことが多く、インプラントやブリッジ、入れ歯や差し歯を施すこととなります。

虫歯の治療を行わないでいるとどうなるか

ここまで虫歯の原因や治療法についてご紹介してきました。しかし「歯が大切なことはわかっているけれど、やっぱり歯医者さんは苦手…」このように感じる方もまだまだ多いのではないでしょうか。

では、虫歯になってしまったけれど、歯医者が苦手だからと言って、治療を行わないでいるといったいどうなってしまうのでしょうか?

虫歯を放置すると最悪は死亡の恐れが?

虫歯の治療をせずに放っておくというのはとても怖いこと。実は虫歯によって歯がなくなってしまったとしても、虫歯菌は消滅したわけではありません。歯の根っこに到達した後は、虫歯菌はあごの骨にまで到達することに。

もちろん、あごの骨も歯と同じように、酸の浸食を受ければ破壊されていきます。次第に炎症を起こし、ここまで来てもまだ放置してしまうと虫歯菌は血管内に入り込み、全身に運ばれてしまう恐れがあるのです。

虫歯菌は歯だけを攻撃するものではありません。最終的には心臓や脳などの生命を維持していくうえで、とても大切な臓器にまで攻撃をしてしまうこともあり得るのです。ここまで紹介すれば何となく気が付いた方もおられるかもしれませんね、虫歯を放置してしまうと、最悪のケースでは死亡してしまう恐れもあるのです。

実際に、死亡まではいかなくても体のあちこちで不具合を起こす結果に。虫歯は口の中だけの病気などと考えず、総合的な健康のため、また早期発見のためにも定期的な歯科医の受診をおすすめします。