2017年12月17日
一般歯科予防歯科

フロスの重要性

フロスの重要性

口腔内の環境を衛生的に保つためにも、毎日の歯磨きは欠かせません。しかし、歯ブラシによる歯磨きだけで口腔内の衛生を十全に保てるかと言われれば、少し首を傾げなければいけないことに。

歯ブラシによる歯磨きだけではなく、「デンタルフロス」を併用することで、より虫歯や歯周病の危険性を遠ざけることができるのです。今回は、歯磨きだけではなく「フロスの重要性」そして、フロスの上手な使い方や、歯間ブラシに関してご紹介していきます。

フロスとは

デンタルフロスや歯間ブラシ。テレビのCMなどでもよく見かけるアイテムですが、存在は知っていても実際に使ったことがある、という方はまだまだ少ないのではないでしょうか。

名前こそ知られていますが、日本ではまだあまり普及率は上がっていません。「何となく痛そう」「なんだかおじさんくさい」と敬遠されている方も多いでしょうね。ここではまず、フロスの有用性と、どの部位に対して有効になるのか見ていきましょう。

歯の間のプラークを除去

細いナイロンの糸を束ねたものになり、歯と歯の間に通すことで、歯間にたまっていたプラークや食べかすを除去できるものです。フロスというよりも「糸ようじ」といったほうが思いつきやすい方も多いかもしれませんね。

とてもシンプルな考え方から作られているものですが、歯ブラシではどんなに頑張っても届かない、歯と歯の間の汚れをかき出すことができる優れものです。一般的によく知られている持ち手がある「ホルダー型」と、糸そのものを指に巻き付けて使う「糸巻型」があります。

また、糸そのものにも種類があり、代表的なものとして「ワックス」「アンワックス」「エクスバンド」の3種類があります。ワックスタイプはその名の通り、滑りがいいことが特徴となり、歯と歯の隙間が狭い方やフロスを初めて使う方におすすめです。

アンワックスタイプはワックス処理を施されていないので、使用時の摩擦が大きく、より効率的に汚れを除去することが可能といえます。

最後にエクスバンドタイプとなりますが、こちらは口腔内の水分を含むことによって、糸が膨らむタイプ。糸のサイズが大きくなるので、慣れない方からすれば歯の隙間に差し込むだけでも大変です。しかし、汚れをかき出すという役割においては3種類の中で一番効果を感じることができるタイプですよ。

歯ブラシと併用することで真価を発揮

さまざまな種類があり、歯ブラシでは届かない歯と歯の間のプラークを除去できるフロス。単体で使用するよりも、歯磨きの際などに、歯ブラシでのブラッシングと併用することによって、その真価を発揮します。

歯ブラシだけの歯磨きの際のプラーク除去率が60%であることに比べ、歯ブラシとフロスを併用した場合のプラーク除去率は80%にも上ります。口腔内の衛生をしっかりと保ちたいと考えているのならば、フロスを活用することは大きな効果を期待できますね。

また、フロスをするタイミングですが、基本的には歯磨きの後と言われています。しかし、タイミングは人によってさまざま。歯磨きの後にフロスをしようとすると、つい忘れてしまう…。このような方は逆に、歯磨きの前にフロスをするという習慣をつけるのも一つの手と言えるのではないでしょうか。

歯間ブラシとは

ここまではフロスの重要性や種類についてご紹介してきました。しかし、口腔内のケアアイテムは、歯ブラシやフロスの他にも「歯間ブラシ」を上げることができます。ここからは、フロスと歯間ブラシの違い、歯間ブラシとはどのような物なのかといったところを見ていきましょう。

歯と歯の隙間、歯と歯茎の間のプラークを除去

こちらも歯と歯の間の汚れをかき出すことができるアイテム。ただ、歯間ブラシはその大きさから、歯の根元部分など隙間が空いている場所に適したものだと言えますね。

また歯と歯の間をきれいにするよりも、もっと大きな役割として、歯と歯茎の間のプラークを除去するという役割もあります。歯周病予防に対して、大きな効果を期待することができるので、近頃歯ぐきから血が出る…などと気になる方は、歯間ブラシを積極的に使ってみてはいかがでしょうか。

サイズ展開も豊富となっており、SSSからLサイズまであるので、自身の歯に合ったサイズをチョイスしましょう。

また、材質にも種類がありますが、おすすめになるのはナイロンを使ったタイプ。持ち手からブラシ部分までゴムでできている歯間ブラシもありますが、ナイロン素材のものに比べて、汚れの除去率が大幅に落ちてしまいます。

歯間ブラシも歯ブラシとの併用がおすすめ

歯間ブラシとフロスの違いとして、歯と歯茎の間のプラーク除去にも効果があるとわかりました。ピンポイントでプラークを除去できる歯間ブラシであるので、こちらもやはりフロスと同じように歯ブラシとの併用が前提です。

歯の間だけではなく、歯と歯茎の間のプラークも除去できることから、歯ブラシと歯間ブラシを使った際のプラーク除去率は、85%にも上ります。絶対に虫歯や歯周病になりたくない、と考えている方からすれば魅力的な除去率ではないでしょうか。

また、使用するタイミングですが、フロスと違い歯と歯の隙間が大きい方、また歯と歯茎の間のプラークを除去する歯間ブラシは、歯磨き前の使用がおすすめになります。あとから磨く歯磨き粉に含まれる「フッ素」の効果を最大限に生かすための順番ですね。

しっかりとプラークを除去し、歯全体にフッ素の効果を届けましょう。

フロス、歯間ブラシのQ&A

フロスも歯間ブラシも、初めて使う場合や慣れない間はわからないこと、戸惑うことが多くあります。ここではフロスや歯間ブラシを使う際の、よくある疑問と疑問に対する答えを見ていきます。

歯と歯の間に入らない

フロスにしても歯間ブラシにしても、初めて使う方が陥りがちな問題になります。しかし、そもそも歯と歯の間に隙間が空いていないという方もおられます。この場合は無理にフロスや歯間ブラシを使うことはありません。

無理に入れようとした際に一番怖いのは、勢い余って歯茎を傷つけてしまうこと。今使っているフロスや歯間ブラシよりもサイズが小さいものにしても入らない場合、フロスや歯間ブラシを使うのはあきらめたほうがいいかもしれません。

また、どうしても気になるという方は、医院によっては歯科医が相談に乗ってくれるケースもあります。定期健診の際に聞いてみるのも一つの手ですよ。

フロス、歯間ブラシを使うと血が出る

基本的には問題のない出血だということが言えます。そもそもフロスや歯間ブラシの使い始めは出血が伴う方がとても多いようです。これは今まで除去できていなかったプラークのせいで、歯茎が炎症を起こしていたせいだと考えられています。

1,2週間ほど続けても出血が続くようならば歯周病が疑われますが、すぐに出血が収まるようならば心配の必要はありません。

フロス、歯間ブラシの交換時期

毎日の歯磨きの際に行うケアアイテムであるフロスや歯間ブラシ。口の中に入れるものであるだけに衛生面も気になりますよね。

フロスの交換時期は毎日、というよりも基本的に使い捨てのものになります。糸によってかき出す、からめとるという使い方をするので、衛生的にも強度的にも使いまわしには適していません。

反して歯間ブラシは歯ブラシと同じように一定期間使うことができます。交換の目安も歯ブラシと同じように、毛の部分が毛羽だったり倒れてしまったときが交換時期です。使用頻度や使い方にもよるので、ブラシの状態を観察しながら交換していきましょう。