2018年02月17日
一般歯科

知覚過敏の治療法とは?歯科治療・自宅での対策も

知覚過敏の治療法とは?歯科治療・自宅での対策も

おいしいものをおいしくいただくには、口腔内の健康が欠かせませんよね。虫歯や歯槽膿漏など、歯科医による明確な治療が必要なものはもちろん、多くの方が一度は体験しやすい「知覚過敏」も厄介な口腔内の病気の一つです。

この知覚過敏、どのような治療法が有効になるか知っていますか?今回はそもそもなぜ知覚過敏は起こってしまうのか、また歯科医でできる治療法、自宅でできる対策法など詳しくご紹介していきます。

なぜ知覚過敏になってしまうの?

虫歯ができているわけでもないのに、冷たいものや甘いものを食べたときに感じる歯の刺激。見た目にはこれといって変化がないのに、なぜ歯が沁みるのか不思議にも感じますよね。しかし、何もないのに歯が勝手に沁みるということはありません。

そもそも歯の構造は普段目にする一番上の層「エナメル質」とその中に含まれる「象牙質」、そして最奥に「神経」が通っている3重構造になっています。

特に歯の根元部分ではエナメル質のカバーがなく、象牙質と神経が通っているだけになっているので、知覚過敏になっている方は、歯茎が下がっているなどの理由で「象牙質」があらわになっている状態が考えられます。

象牙質があらわになってしまう原因には、上記で紹介したように歯茎が下がっているほかにも、歯ぎしりや強すぎる歯磨きなどによる摩耗など様々な原因が考えられます。いずれにせよ象牙質があらわになってしまうと、より神経に刺激が伝わりやすくなり、少しの刺激でも歯が沁みるなどの症状が起こることになるのです。

歯科医による知覚過敏の治療とは

ではここからはつらい知覚過敏にはどのような治療法があるのか、といったところを見ていきましょう。何を食べてもしみて辛い…。このようにひどい症状がある場合は、歯科医にお任せするのが一番です。

口内のクリーニングを施す

知覚過敏の原因の一つである「歯肉の下がり」「歯肉と歯の隙間」も、さまざまな原因によって引き起こされます。加齢によっても歯肉は下がってしまうのですが、歯垢や歯石などが歯と歯茎の間にたまることによっても歯肉の下がりや隙間が引き起こされます。

歯科医での治療では、まずこれら歯垢や歯石を除去し、口内のクリーニングを施すことから始まります。一時的により象牙質が露出することになりますが、的確なブラッシングを続けることで歯肉の状態の回復を促します。

コーティング剤を使用して象牙質の露出部分を閉じる

露出した象牙質の部分を、専用のコーティング剤で覆って物理的に閉じる。という治療法もあります。歯肉の下がりがひどかった場合などにとられる治療法の一つです。
使われるコーティング剤は治療用のレジンなど。物理的に象牙質を覆ってしまうので症状の改善、即効性に高い効果を発揮します。

薬剤を塗布して神経の高ぶりを鎮める

歯に刺激を感じるメカニズムには、神経が脳に向かって刺激を受けた!痛い!などの信号を送っていることがあげられます。もちろん人が生きていくうえで痛覚はとても大切なことですが、必要以上に過敏になってしまうと日常生活の妨げにもなりますよね。
したがって薬剤を塗布することによって、神経を鈍らせるという治療法も確立されています。使われる薬剤の中でも有名なのは「硝酸カリウム」など。一般的な知覚過敏用の歯磨き粉などにも配合されている成分です。

歯肉の再生治療

一度下がってしまった歯茎は、残念なことに自然治癒を期待することができません。したがって極端な歯肉の下がりによって知覚過敏が起こっている場合、歯肉の再生治療が採用されることもあります。
歯肉の下がりすぎは歯そのものの寿命も短くしてしまうので、下がりがひどい場合には知覚過敏の症状がなくても治療される場合もあります。

歯科用レーザーによる治療

歯科用レーザーを照射することによって、象牙質にある細かな穴をふさぐ治療法です。正し、治療における明確な仕組みが証明されていないので、確実に効果があるとはいえません。
実際に治療を受けた方たちの中でも、効果に対して個人差が大きな治療法といえます。

自宅でできる知覚過敏の対策とは

ではここからは、自宅でできる知覚過敏の対策法を見ていきましょう。知覚過敏はなぜ症状が起きてしまうのか、といった明確なメカニズムはいまだに判明していません。よって確実に予防、対策ができるとは言えませんが知覚過敏をおきにくくさせることは可能です。
毎日の対策で、辛い知覚過敏を遠ざけてしまいましょう。

正しい歯磨きの仕方を覚える

知覚過敏に限らず、口内の健康を守ろうと考えるのならば「正しい歯磨き」の方法は必ず覚えなければいけない必須事項です。毎日当たり前のようにしている歯磨きですが、正しい歯磨きをしていると自信を持って言えますか?

特に知覚過敏の原因である象牙質の露出には、強すぎる歯磨きや歯磨き粉によるエナメル質の摩耗も挙げることができます。

また、正しい歯磨きをしていないと歯垢の磨き残しが多くなります。歯垢は糖分と反応して「酸」を出し、この酸がエナメル質を溶かすことで虫歯や知覚過敏の原因になります。

強すぎず弱すぎず、しっかりと口内の清潔を保てる歯磨きの仕方をマスターすることこそ、口内の健康を守る一番の方法といえるでしょう。歯科医では歯磨きの仕方のレクチャーなどもしてくれます。いまいち自身がない方は、実際に歯科医で指導してもらうのもおすすめです。

歯磨き粉を変えてみる

知覚過敏用の歯磨き粉なども現在では発売されていますよね。知覚過敏になっている方は、これら専用の歯磨き粉を活用してみましょう。

歯科医による治療法でも紹介したように、専用の歯磨き粉には、歯の神経を鈍らせる「硝酸カリウム」や象牙質から神経に刺激が伝達しないよう働く「乳酸アルミニウム」などが含まれています。歯科医による治療ほど劇的な効果は期待できなくとも、知覚過敏を抑えることは叶います。

歯磨き粉の成分表もしっかりと把握し、「研磨剤」が含まれていないものを選びましょう。

マウスピースを使ってみる

知覚過敏の原因は何らかの原因で象牙質が露出してしまったことだと紹介しました。この象牙質が露出する原因も様々なものが考えられますが、原因の一つに「歯ぎしり」が考えられます。

歯ぎしりをしていると指摘されたことがある方は、一度マウスピースを使うことも考えてみましょう。歯磨きや歯科医で治療を受けたとしても、寝ている間にエナメル質を削ってしまってはイタチごっこです。

マウスピースには歯科医で作れるものと、市販のものがあるので自身の好きな方で一度試してみるのもおすすめです。

歯の再石灰化を促す

ごく軽い知覚過敏の場合は、何をしなくとも時間経過とともに治っていることがあります。これは露出した象牙質の部分を、エナメル質の「再石灰化」によってふさがれることから起こります。

この再石灰化は主に「唾液」によって促されている現象。知覚過敏に限らず口の中では日常的に唾液がこの再石灰化を行っています。

再石灰化を促すには口内に歯垢が残っていない清潔な状態であること、歯の表面にまんべんなく唾液が行きわたることが大切になるので、歯磨きや唾液を出しやすい口内を意識することも重要ですね。

再石灰化の助けになる「フッ素」配合の歯磨き粉を使う、または唾液が出やすいように食事はよく噛んで食べるなど日常から気を付けてみましょう。フッ素が配合されたガムをかむなどもおすすめです。