2018年03月03日
一般歯科

歯の詰め物ってどのようなものがあるの?

歯の詰め物ってどのようなものがあるの?

虫歯の治療や歯が欠けた後に詰める歯の詰め物。その種類には様々なものがあります。

詰め物を使った歯の治療法と種類

歯の詰め物は、虫歯がまだ小さいときの修復や、歯が少し欠けたときの修復のときに行う治療法です。その方法には、充填(じゅうてん)とインレー修復の2種類があります。

充填は、欠けた部分や虫歯に侵された部分を処置して穴を成形した後、その穴に直接セメントや材料を注入して固める方法です。一方、処置後の穴の型を取って別途詰め物を作り、それを後からセメントで歯の穴に合着する方法がインレー修復です。インレーとは、歯の穴にはめ込む詰め物のことです。

インレーだけでは修復が難しいような大きな穴や、噛む面の力をしっかりさせたいときの処置には、歯の上部表面を覆う形ではめ込まれるアンレー・全体を覆う被覆冠などのクラウン(冠・被せ物)での治療が行われます。

充填で使用する詰め物の種類

歯の穴に直接材料を注入して固める充填は、主に前歯やごく小さな臼歯の虫歯・破損などの修復に用いられる方法です。型取りをする必要がなく、時間を置かずスピーディーな処置が可能ですが、噛む力の強くかかる臼歯である程度大きな穴が開いてしまった場合には充填での処置が向かず、インレーでの治療が選択されることが多くなっています。

・コンポジットレジン充填

充填でよく用いられるのは、コンポジットレジンという歯科用のプラスチック素材です。天然歯に近い色調が特徴で、目立つ前歯や一部臼歯の充填に向いています。コンポジットレジンを使用した場合、見た目に詰め物をしているとはほとんどわかりません。

コンポジットレジンは、最初ペースト状で柔らかく、そこに化学処理や特殊な光を加えると硬化する仕組みになっています。かつて用いられていたアクリル系レジンと異なり、レジンの弱点だった強度の低さ、変色のしやすさ、神経への刺激性、接着の甘さなどが改善され、幅広い治療に用いられています。

◎コンポジットレジン充填のメリット

・1日での処置も可能(状態による)
・歯に近い色調で見た目が綺麗
・健康保険が適応される

×デメリット

・長年の利用で摩耗、着色がおこることがあり、詰替えが必要な場合がある
・穴が大きくなると充填だけでは対処しきれないことがある

・グラスアイオノマーセメント充填

シリカやフッ化カルシウムなどのミネラル分と特殊なガラス粉末を混ぜた歯科用セメント剤です。その構成によって性質が異なり、詰め物には修復用のグラスアイオノマーセメントが用いられます。

◎グラスアイオノマーセメント充填のメリット

・1日での処置が可能(状態による)
・健康保険が適応される
・フッ素イオンが発生し、2次虫歯のリスクが低くなる
・熱によって変質しにくい
・コンポジットレジン以上に刺激性が低い

×デメリット

・強度に劣る
・乾燥に弱く、亀裂が生じることがある
・色調は白いが透明感が無く自然さに劣る

・アマルガム充填

1980年代以前に使用されていた金属性の素材です。現在でも一部流通はしていますが、デメリットの面が多く指摘されるようになり、最近は使用されることがほとんどなくなっています。

インレー修復に使う詰め物の種類

インレー修復は、虫歯や破損した部分を処置した後の穴の型を取り、歯科技工所などで型に合わせて作成した詰め物(インレー)をセメントで歯に合着させる治療法です。

・コンポジットレジンインレー(CRインレー)

充填同様にインレーの素材としてもコンポジットレジンは用いられます。保険適応されるかどうかは、状態や選択される治療法・歯科医院の方針によって異なります。

◎コンポジッドレジンインレーのメリット

・歯に近い色調で見た目が綺麗
・金属アレルギーのリスクが無い

×デメリット

・エナメル質より硬度が低いので摩耗しやすい
・変色の可能性がある
・適合が悪いとすき間から菌が入って2次虫歯になることがある

・金銀パラジウム合金インレー(メタルインレー)

コンポジットレジンよりも強度に優れるため奥歯の修復に向いていますが、金属製のために銀色で、修復をした跡がはっきりと見えます。金属アレルギーの方にも向きません。基本は保険が適応される素材ですが、合金の種類や治療法などの違いで保険外の扱いをする歯科医院もあります。

金銀パラジウム合金以外にも保険が適応される合金がありますが、安定性やリスクの低さや使用感の良さの面では現在のところ金銀パラジウム合金が一番と言われ、保険適応のメタルインレーにはほとんどの場合この素材が用いられています。

◎金銀パラジウム合金インレーのメリット

・コンポジッドレジンよりも強度に優れる
・基本は健康保険が適応される

×デメリット

・銀色の見た目が目立つ
・金属アレルギーのリスクがある
・長年使用していると金属が黒く変色することがある
・適合が悪いとすき間から菌が入って2次虫歯になることがある

・ハイブリッドレジンインレー

コンポジッドレジンの方は天然のエナメル質より柔らかいので強度に劣りますが、ハイブリッドレジンにはセラミックの粉末が混合され、コンポジッドレジンよりも強度が増してあるのが特徴です。硬さや特徴などがコンポジットレジンとセラミックのちょうど中間に位置するような存在で、保険は適応されないものの、基本的にセラミックよりは費用が安い傾向があります (場合による)。

◎ハイブリッドレジンインレーのメリット

・硬さがちょうどよく、噛み合わせる歯を摩耗させにくい
・コンポジッドレジンより強度に優れる
・見た目の色調が自然で綺麗
・金属アレルギーのリスクが無い

×デメリット

・健康保険適応外
・セラミックよりは変色しやすい
・適合が悪いとすき間から菌が入って2次虫歯になることがある

・セラミック

陶器のような素材でツルツルとし、見た目には一番綺麗なインレーです。表面がなめらかなので汚れはつきづらく、長年使用してもほとんど変色しません。以前は割れやすさ、硬すぎて噛む相手の歯を痛めるなどのデメリットも目立ちましたが、現在はセラミック素材がだいぶ進化し、ものによってはそれらのデメリットが改善されてきています。

健康保険は適応されず全額自己負担となり、使用されるセラミックの種類や価格は歯科医院によって様々となっています。

◎セラミックインレーのメリット

・天然の歯と同じような光沢があり見た目が一番美しい
・長年使用してもほとんど変色しない
・金属アレルギーのリスクが無い
・2次虫歯のリスクは他に比べると低いと言われている

×デメリット

・健康保険適応外
・強い衝撃で割れることがあり、その場合には詰替えが必要になる
・種類によっては硬すぎて噛み合う歯を摩耗させることがある
・他の素材に比べて歯を多く削らなければいけない場合がある

・ゴールドインレー

ゴールド(金)は、金属類の中では非常に劣化しづらく、加工はしやすく、金属アレルギーのリスクは低いのが特徴です。18Kや24Kの金合金、プラチナが加わったPGA合金などの種類があります。健康保険は適応されず、価格は使用している種類や歯科医院の設定によって異なります。

◎ゴールドインレーのメリット

・長年使用しても劣化しづらい
・加工がしやすい
・他の金属よりは金属アレルギーのリスクが低い
・他の金属よりは2次虫歯のリスクも低いと言われている
・硬すぎず噛み合う相手の歯を痛めにくい

×デメリット

・健康保険適応外
・ゴールドアレルギーがあれば使用できない
・金色の見た目なので、自然さに劣る