2018年04月14日
一般歯科

虫歯の治療ってどういう事をするの? 

虫歯の治療ってどういう事をするの? 

進行すると激しい痛みがおこる虫歯。虫歯は、一度なってしまうと残念ながら自然に治ることがありません。虫歯の治療ではどういう事をするのでしょうか。

虫歯の治療とは

虫歯は細菌による感染症の1種で、虫歯の原因菌の生み出す酸によって歯が溶かされていく病気です。虫歯の治療とは、細菌に侵されている部分を取り除いて清潔にし、その後を塞いで元の形に修復することが基本です。

虫歯の段階別の症状と主な治療

虫歯は進行性の病気で、症状のレベルによって向いている治療法が異なります。虫歯のレベルは、ごく初期の段階を過ぎると進行の程度によってC1~C4の段階に区別されています。

ごく初期の虫歯

◆症状
・わずかに歯が溶けかかっているが外観にはわからない程度
・エナメル質の透明感が失われ白っぽく濁っている
・痛みは全く感じない

◆主な治療
・ブラッシングを丁寧に行い定期通院で様子を見る
・状態によってはクリーニングやフッ化物の塗布を行うことも
・上手くいけば自然の回復が見込める

まだ目で見わけがつかないレベルの初期虫歯では、汚れを丁寧に取り除く毎日の歯磨きを正しく行えば、自然回復の可能性があります。プラークや歯石がこびりついているような状態なら歯科医院でのクリーニングを行い、歯質を強化するためのフッ化物を塗る処置をすることもあります。この状態を自分で判別するのは難しいので、定期的な検診を受けることが早期発見のポイントで、経過観察のための定期通院を続けましょう。

C1の虫歯

◆症状
・一番表面のエナメル質が少し溶かされている
・痛みは感じない

◆主な治療
・消毒をしてプラスチックやセメントを詰めるだけで済むこともある
・少し進行すると虫歯の部分を削り、後に詰め物を補う

初期の段階から虫歯が進行すると、一番外の白いエナメル質が溶かされてきます。この段階ではまだ痛みを感じることはありません。

ここで発見することができれば、虫歯にかかった部分を綺麗にして消毒をし、プラスチックで埋めるだけの治療で済むこともあります。少し進行した場合には虫歯の部分を削り取り、後を消毒して詰め物で補います。

軽い虫歯のときの詰め物は、白い歯科用プラスチックレジンを直接詰める方法がよく使われます。

C2の虫歯

◆症状
・エナメル質より奥の象牙質の方まで穴が広がっている
・外からでも穴が見える
・冷たいものや甘いものなどがしみるようになる
・根に近い部分から始まった場合は症状が自覚しにくい

◆主な治療
・虫歯の部分を削り取り、穴の処置をした後に型取りをして詰め物をつくる
・虫歯の状態によっては被せ物で治療することもある

虫歯が進行すると、エナメル質より内部の黄色い象牙質の方も溶かされていきます。象牙質の内部には歯の血管や神経の集まる歯髄(しずい)があるので、冷たいもの・甘いもの・熱いもの・酸っぱいものなどの刺激が薄くなった歯から伝わりしみるようになります。

また、歯ぐきが下がって歯の根が見えている人では、エナメル質の無い部分からセメント質や象牙質に虫歯が広がっていくことがあります。根面虫歯といい、歯ぐきが下がる中高年以降で多く見られますが、こちらは自覚症状が出にくいので注意が必要です。

この段階の虫歯では、表面に見えている穴は小さくても、内部で意外に大きな虫歯が広がっていることがあります。その部分を削り取って後の掃除をし、削った後の型取りをして詰め物や被せ物をつくり、しっかりと接着して修復をします。

詰め物や被せ物の素材は、目的や患者さんの希望に応じていくつかの種類があります。保険内で行う一般的な治療では、奥歯は金銀パラジウム合金、前歯の6本は白い歯科用プラスチックのレジン製です。現在は、ハイブリッドレジンという強化型プラスチックによる白い被せ物が小臼歯(前から4~5番目の歯)、手前の大臼歯(6番目の歯/条件あり)には保険適応が可能になっています(歯科医院や状態による)。

保険外の自費診療では、見た目や耐久性の優れたセラミックや、生体との親和性の良いゴールド・プラチナなどの素材を選ぶことができます。

C3の虫歯

◆症状
・象牙質から内部の神経(歯髄)の方までが侵される
・大きな穴が開いてズキズキと激しい痛みを感じる

◆主な治療
・歯髄の侵された部分を切り取り後に薬を詰めて被せ物をする
・歯髄の損傷がひどいときはすべて抜き、後の掃除をしてから被せ物をする
・抗生物質を併用した治療法もある

さらに虫歯が進行すると、象牙質の内部にある血管や神経の集まる歯髄までが虫歯菌に侵されてしまいます。目に見えて大きな穴が開き、普段でも歯がズキズキと痛みます。

ここまでくると、根の治療が必要になります。歯髄の一部が残せそうな場合は侵されている部分を切り取り、その後の空間を丁寧に掃除・消毒し、薬を詰めて蓋をします。

歯髄の損傷がひどい場合には、やむを得ずそれを抜き、抜いた後の空間(根管)を専用の器具で広げて掃除と消毒をくり返します。その後被せ物を支える杭のようなもの(ポスト)を建て、その上に被せ物を固定します。

歯髄が侵された虫歯治療では後の掃除と消毒の作業がとても重要で、それが不十分だと被せ物の内部で虫歯が再発するリスクが高まります。その治療のためには、数回の通院が必要になります。

できる限り歯髄を残すことを目的として、虫歯菌を殺す抗生物質の使用を併用した治療法もあります。削る範囲が減らせたり、歯髄を残せる可能性が高まると言われていますが、その場合は保険適応外で多くの歯科医院が行っているわけではありません。

C4の虫歯

◆症状
・歯髄が完全に侵され歯が死んでしまう
・激しく痛むが最後は神経も機能しなくなるので痛みを感じなくなる
・骨の方にまで炎症が広がってしまうこともある

◆主な治療
・歯を根っこから抜いて後の掃除を行う
・抜けた後にブリッジ、部分入れ歯、インプラントのいずれかを補う

激しく痛む状態の虫歯をさらに放置していると、最後は完全に歯髄が侵され神経も血管も機能しなくなって歯が死んでしまいます。炎症が顎の骨の方にまで達して顔が腫れたり、熱が出たりすることもあります。

この段階になれば、歯を抜いてしまうしか治療法がありません。根っこから抜いてしまった場合には被せ物で修復できないので、両側の歯を支えに人工歯を固定するブリッジ、固定器具を使った部分入れ歯、チタン製の人工歯根を顎骨に埋めて上に人工歯を取り付けるインプラントのいずれかを選択します。

ブリッジと金具のついた部分入れ歯には保険が適応されます。インプラントと金具を使わないタイプの部分入れ歯は健康保険が適応されず、自費診療での治療になります。

虫歯治療と痛み

虫歯の治療には痛いイメージがあって怖い!という方も多いですよね。治療が怖くて歯科医院に行かないうちに虫歯が悪化してしまうケースも多いようですが、虫歯は進行するほど治療も大変になっていきます。早期の段階ほど、虫歯の傷みも治療にともなう痛みも少なくて済みます。

現在の虫歯治療はできるだけ痛みを減らせるように対策がされています。虫歯治療への恐怖が強い人のために特殊な麻酔や安定薬を使う方法もありますので、治療への不安が強い場合には歯科医院で相談してください。

虫歯の治療後は予防が大切

虫歯は、虫歯菌が一度歯を溶かし始めてしまうと自然の修復が叶いません。虫歯菌が増えてしまう主な原因は食べかすを放置しておくことで、とくに砂糖を代表にしたショ糖を多く含むものは虫歯菌の一番の栄養源になります。

虫歯菌や酸に対する強さには個人差があり、虫歯にかかりやすい人とかかりにくい人がいます。かかりやすい歯質の人はとくに注意が必要で、一回虫歯を治療してもまた他の歯や治療した奥の方が虫歯になってしまうこともあります。

治療が終わった後には予防の習慣が大切です。毎日のブラッシングやフロスなどのセルフケアを丁寧に行い、半年に1回程度は歯科医院で検診やクリーニングを受けるようにしましょう。