2018年07月24日
審美歯科

セラミックスインレーとは

セラミックスインレーとは

インレーとは虫歯治療で使用する詰めもの。つまりセラミック製の詰めものです。インレーを使用する虫歯治療では、歯の虫歯に侵されている部分を削り取ります。インレーは削り取ったためにできた隙間を埋めるために使用するのです。インレーを入れなければ、当然のことながら隙間の部分に食べ物が詰まったり、虫歯になりやすくなったりします。

もともとインレーは銀色の金属製のものが主に使用されていましたが、現在は材質の向上に伴いセラミック製のものが多く出回るようになりました。

セラミックスインレーのメリット

・口を開けても詰め物が目立たない
セラミックは美しい白色をしているので歯に詰めてもほとんど目立ちません。金属製の銀歯の場合は、口を開けるとどうしても目立ってしまい、また口内がとても暗く感じられます。

・虫歯になりにくい
セラミック製のインレーは強力な接着剤でしっかりと隙間に固定し、劣化しにくい材質であるため、治療後再度虫歯になりにくいのです。また汚れが付着しにくく、ブラッシングを怠らなければ口腔内の清潔を保つことが容易。口臭も少ないです。

かつてセラミックといえば、歯を比較的多く削らなければならないかぶせものが主流でしたが、インレーの場合は、それほどは多く削る必要がないので、歯への負担が軽減されています。

セラミックスインレーのデメリット

・保険適用外
保険が効かないので、どうしても費用がかかってしまいます。だいたい歯一本に3万~7万円程度になります。サイズが大きくなるほど費用がかかるため、どうしても銀のインレーに抵抗がある人は、歯に何かしらの異変を感じたらなるべく早く医院に足を運ぶのがよいでしょう。

・衝撃に弱い
セラミックは基本的に長持ちする材質であるものの、強い衝撃に弱いことが弱点。強いかみ合わせや歯ぎしりにより、あっさり欠けてしまうことがあります。歯ぎしりが気になる人は専用のマウスピースを使用するとよいでしょう。またジルコニアという、より強固なセラミックがありますが、こちらは2~3割程度高めの費用がかかります。

費用がかかるので医院選びは慎重にしましょう

散々費用をかけたあげく、すぐに欠けてしまいました…なんてことは絶対に避けたいことです。少なくともきちんと納得できるまでカウンセリングをしてくれる医院を選びましょう。

セラミックインレーの寿命

治療跡が目立たないようにと、セラミックスインレーを希望される方は増えています。しかし、費用が高額な分、「どのくらい持つの?」ということは気になりますよね。
一般的には、セラミックスインレーの寿命は平均10年と言われています。とはいえ、状態によって非常に個人差が大きく、もっと長く使える方も多いですし、反対に意外と早く詰め直しが必要になってしまうこともあります。

セラミックの素材自体はほとんど劣化せず、特別な問題がおこらない限り長く使えるはずなのですが、意外と早く詰め直しが必要になるのはどのような場合なのでしょうか?

治療後新たな虫歯が発生した

インレーが使えなくなる原因として一番多いのは、治療後に新たな虫歯が発生したケースです。とくに保険のメタル(金属)インレーの場合、詰め物と歯との間に微小なすき間が生じやすく、そこから汚れや虫歯菌が入って虫歯が再発してしまうことがあります。そのような虫歯を2次う蝕と呼びますが、2次う蝕がおこればインレーをはずし、再治療を行わなければいけません。
治療後には歯の形が変わっていますので、古いインレーは使えなくなります

セラミックスインレーの魅力は、この2次う蝕のリスクが低いということが挙げられます。しかし、可能性が0になるわけではありませんし、詰め物の周辺以外から新たな虫歯が発生してしまうケースもあるのです。虫歯の範囲が大きくなればインレーの処置では治療が難しくなり、今度は全体を被せるクラウンに変更しなければいけないこともあります。

インレーが破損した

虫歯の発生以外でインレーがダメになるケースとしては、インレー自体の破損が挙げられます。
陶器に近いセラミックには「ヒビが入る」「割れる」というリスクがあります。最近のセラミック素材はかなり強度が高くなっており、日常の食事程度の衝撃で簡単に割れてしまうようなことは通常おこりませんが、歯ぎしりの習慣や、極度に硬いものをかみ砕くなどのことをすれば、インレーにヒビが入ったりして劣化が早まってしまうことがあります。

セラミックは、ヒビが入ってしまうと修理することが難しく、また、接着が強力な分だけ簡単に取り外すことができません。ヒビが入った場合は全体を除去し、新たなインレーを作って詰め直しをする必要が生じます

周囲の歯と色が変わってしまった

セラミックスインレーには様々な色合いがあり、ただ真っ白ではなくご自分の歯の色に合わせて自然な仕上がりにすることが可能です。しかし、天然の歯の方は年齢とともに少しずつ変色するため、長年使っているとセラミックスインレーが白く浮いて見えるようになることがあります。

この場合、患者さん本人がそれを気にされないのなら、そのまま使用して問題はありません。奥歯ならほとんど目立たないかと思います。目立つ場所で色のムラが気になるときは、インレーを新たな色で詰め直すか、周囲の歯の方をホワイトニングするかの対応を選択することになります。
周囲の歯の変色が単純な着色汚れの場合は、歯科医院で専用のクリーニングをすれば元の色が蘇る可能性が高いので、ホワイトニングの処置は必要ないこともあります。

セラミックスインレーを長持ちさせるために

せっかく高い費用をかけて入れたセラミックスインレーなら、できるだけ長く使い続けたいですよね。そのためには何を意識すればいいのでしょうか。

信頼できる歯科医院で治療を受ける

セラミック治療は、保険の金属よりも仕上がりに差がでやすい一面があります。採用しているセラミック素材も様々ですし、患者さんの状態に合わせて適切な選択をする必要もあります。

インレーの適合性や仕上がりにより、インレーの寿命は変化します。セラミックスインレーの費用は各歯科医院が自由に設定するので、高価=優れたインレーができるという単純なことにはなりません。大切なのは、説明をよく聞き、ご自分が信頼できる歯科医院で治療を受けられることかと思います。

歯科医院によっては、クオリティの異なるセラミック素材を選べるようになっていることもあります。見た目の良さや耐久性などに差があるので、費用だけではなく、それぞれのメリット・デメリットもよく聞いて選択すると良いでしょう。

定期検診やクリーニングを受ける

インレーが使えなくなる原因の多くは新たな虫歯の発生です。詰め物の周辺や別の部位から新たな虫歯が発生すると、再治療が必要になり古いインレーは使えなくなってしまいます。セラミックスインレーは、保険内のメタル(金属)インレーに比べると2次う蝕のリスクは低いのですが、上にも書いた通り虫歯は詰め物の周辺以外からも発生します。それを防ぐためには日ごろの歯磨きに加え、定期検診やクリーニングは欠かせません。

また、噛み合わせの状態も時間の経過とともに変化しますので、定期検診で噛み合わせに無理がかかっていないかをチェックすることもインレーの持ちを左右します。インレーそのもの以上に周辺の歯の状態は変化しますので、お口全体のメンテナンスを続けていくことが大切です。
新たな虫歯の発生を防ぐためにも、インレーを長持ちさせるためにも、定期検診やクリーニングの習慣をつけましょう。

セラミックとは

歯科用セラミックは陶材とも呼ばれる通り、陶器に近い素材です。具体的には、シリカ、アルミナ、硫酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどミネラル系の粉末が主な成分になっています。ただ、同じ陶器の食器でもその性質が違うように、歯科用セラミックの品質も様々です。割れやすい素材、耐久性の高い素材、より透明感があって美しい素材など、細かな特徴は同じセラミックでも異なっている場合があります
治療を決める際は各歯科医院での説明をよく聞いて選択しましょう。

ハイブリッドインレーとの違い

セラミックスインレーと同じ白色のインレーとして、『ハイブリッドインレー』というのもあります。
見た目はセラミック同様天然の歯に近い色合いでそう変わりませんが、ハイブリッドは歯科用レジン(プラスチック)にセラミックの粉末を混ぜて強度を増した素材で、ベースはレジンです。レジンとセラミックのちょうど中間のような特徴を持ちます。

強度

セラミックスインレーとハイブリッドインレーを比較すると、セラミックスインレーの方が硬く強度には優れます。その分、柔軟性がないためヒビが入りやすかったり、噛み合わせの状態によっては噛み合う相手の歯を摩耗させやすいという難点があります。
一方ハイブリッドは、セラミックより柔らかい分だけ相手の歯に対しては優しい素材です。しかしその反面、ハイブリッドインレーの方が摩耗しやすいという弱点があります。
硬さの順序としては、ハイブリッド→天然の歯→セラミックの順で硬度が増していくのが基本です。

変色・衛生面

セラミックスインレーは、長年使用してもほとんど変色しません。表面がツルツルとして汚れや雑菌もつきにくく、見た目的にも衛生面でも優れます。一方、ハイブリッドはレジンがベースになっていてやや吸水性があり、セラミックよりは汚れがつきやすく、雑菌の繁殖もしやすくなります。また、長年使用していると黄色っぽく変色することがあり、とくに色の濃い飲食物を常に口にしていると変色が速まります。しかし、完全にプラスチックのレジンよりは変色しにくいのが特徴です。

費用

基本的には、セラミックよりハイブリッドの方が安価です。
いずれにしても、詰める歯の状態や患者さんの希望によりインレー素材の適合は異なります。どのようなセラミック素材を揃えているか、ハイブリッドを扱っているかどうかも歯科医院により異なります。選択する際は、それぞれの特徴、メリット・デメリットをよく聞くようにしましょう。