2018年10月30日
一般歯科

我慢できない!急な虫歯の痛みの対処法と進行度を知ろう!

我慢できない!急な虫歯の痛みの対処法と進行度を知ろう!

歯の神経というのは、人間の体の中でも2番目に強く痛みを感じる箇所だと言われています。虫歯がひどくなると、夜に眠れないのはもちろんのこと、ものを噛んだだけであごが砕けたんじゃないか!?というくらいの激痛を感じてしまうことも……。

今回は、急に虫歯が痛み出した時にすべき対処法と、虫歯の進行度別の痛みのタイプをご紹介いたします。

今すぐ止めたい!歯の痛みを止める方法

・痛み止めを飲む

一番有効といえるのが、この痛み止めを服用する方法でしょう。特に、即効性のあるロキソニンが効果も確実でおすすめです。

・薬を直接歯に塗る

「今治水」という薬は、脱脂綿などに浸して虫歯に直接塗布するタイプの虫歯専用痛み止めです。服用型の痛み止め以上のかなりの即効性が期待でき、2分程度で効果が表れると言われています。

もう一つは、胃腸薬の「正露丸」を虫歯の穴に詰めるという方法です。正露丸の「木クレオソート」という成分は、歯の治療に実際使われている成分だそう。ロキソニンも今治水もない時は試してみる価値がありですが、味がまずいのと口内がピリピリする可能性があるという点にはご注意ください。

・冷やす

保冷材や氷嚢、冷湿布などで冷やすことにより、痛みがやわらぎます。できれば、あごの感覚が麻痺するくらい冷やすと効果があるでしょう。

・食べ物のカスが詰まっていたら取り除く

虫歯の奥に、食べ物のカスが詰まって痛みを引き起こしている可能性もあります。ようじや歯ブラシ、歯間ブラシなどで虫歯の奥の食べカスを取り除いてみてください。

痛みで歯の状態がわかる?痛みの原因と虫歯の進行度

・冷たいものが少ししみる

これは、虫歯の進行度で言うとC1の状態です。虫歯によって、歯のエナメル質の表面に浅い穴ができている状態のことを指します。

・冷たいものや甘いものがしみる

この場合の進行度はC2です。エナメル質を過ぎ、歯の象牙質まで虫歯が達している状態です。

・温かいものでもしみる・常にズキズキする

これは、虫歯が神経にまで達してしまっている状態です。夜や寝る前、入浴時、運動時などにも、体の血流がよくなることが原因で、特に激しい痛みを引き起こしてしまうことがあります。

ここまでくると神経を取る治療(抜髄)をしなければならない場合も多いため、早急に歯科医院を受診しましょう。

むし歯の痛みというのは、経験した人間にしかわからない辛いものです。歯医者に駆け込めない夜中などに急に歯が痛み出したら地獄ですよね。

今回ご紹介した方法も参考にしつつ、虫歯に気付いたらなるべく早めに歯医者に行くようにしてみてくださいね。

これは避けたい!痛みがひどくなる行動とは?

虫歯の痛みを和らげる応急処置をご紹介しましたが、同時に気をつけたいのは痛みがひどくなってしまう行動です。とくに、何もしなくてもズキズキと痛む段階になったら注意が必要です。

虫歯部分をいじる
虫歯になっている部分は歯がもろくなっています。虫歯の部分に薬を塗ったり詰めたりするときはできるだけソッと行い、必要以上に触らないようにしましょう。歯をいじることでさらに神経も刺激され、痛みが増してしまいます。

お酒を飲む
痛みがひどくなると、「酒でも飲んでまぎらわしてしまえ」と飲む人がいるようなのですが、それはズキズキ痛む虫歯には絶対NGの行為です。一時的には神経がマヒしますが、血流がよくなると炎症がひどくなり、状態が悪化する上に酔いから冷めた後はさらに強い痛みが襲うことに…。
また、お酒には虫歯菌の栄養となる糖質が含まれ、炭酸も虫歯を刺激します。

熱いお風呂に入る・激しい運動をする
虫歯に限らず、傷がズキズキと痛むようなときに熱いお風呂に入るのはNGです。アルコール同様に血流がよくなることで炎症が強くなり、痛みが増してしまいます。同じ理由で激しい運動もNGです。
ひどく痛んでいるときに運動する人はあまりいないかもしれませんが、応急処置で痛みがマシになったときが要注意です。熱いお風呂に入ったり運動したりすると痛みがぶり返してしまうので、できるだけ安静にして早めに歯医者を受診するようにしましょう。

痛みが治まった後は?

急に歯が痛んだ時の対処法をご紹介しましたが、痛みが治まってもそのまま放置はしないでください!なぜかというと、痛みが治まる=虫歯が治まることではないからです。痛みが出るほど進行した虫歯は自然に治まることはありません。放置しているとさらに進行し、周囲の歯や顎の骨にまで感染が広がってしまう恐れがあるのです。

虫歯は細菌による感染症。はじめは外のエナメル質や象牙質が溶かされるだけですが、進行すると内部の神経が刺激されて痛むようになります。冷たいものが軽くしみている初期には神経自体は無事で、この段階で治療をすれば基本神経は抜かずに済みます。けれど、冷たいものより熱いものがしみたり、何もしなくてもズキズキ痛んだりするような段階になると、神経そのものが細菌に侵されてしまっているため、神経を削るか抜くかの処置が必要になります。

そのまま放置していると…?

ズキズキ痛んでいる虫歯を応急処置でだましだまし過ごしているという人もいるかもしれません。そのまま過ごしているとどうなるのでしょうか?

歯の神経が死んで腐る
上でお伝えしたように、虫歯は細菌による感染症です。虫歯の原因菌は厄介な性質で、薬や自然の免疫機能によって退治することができず、歯を溶かしながら奥へと進んでいきます。最初は一番外のエナメル質。そして内側の象牙質、象牙質の中心部にある神経の通り道の歯髄(しずい)を侵食し、ついには歯の神経が死んで腐ってしまいます。
歯の神経が死ぬとかえって痛みは感じなくなることがありますが、それは虫歯が治まったわけではなく、神経が力尽きてしまったサインです。

感染が広がる
神経が死んでしまい痛みが無くなれば、そのまま放置しておいてもいいかな?と思う人もいるかもしれませんが、神経が死んでも細菌は生きて繁殖を続けています。そのまま治療せずにいると、細菌による感染は歯の根っこの先まで達します。そこからさらに歯を支える歯根膜や顎の骨にまで感染が広がり、今度はそちらの方から激しい痛みがおこったり、進行した歯周病のように骨が破壊され、隣の歯までグラグラとしてしまうことも。
ときには口の中だけで感染が治まらず、骨髄炎や蜂窩織炎といった病気を引き起こすこともあります。稀ではありますが、原因不明の高熱や全身性炎症の大元が放置していた虫歯だったというケースも報告されています。

虫歯の重症度は痛みに比例しない?
虫歯の痛みは神経が活発なほど強く感じるため、重症度は痛みと比例しないことがあります。神経の働きが弱くなったり、痛みに慣れてマヒしたりすると大して痛まないまま進行していることも。痛まないからと言って放置していると、他の歯、歯を支える骨や歯根膜、顎、ときに全身へと炎症をおこす可能性もあるのです。虫歯は一旦進行してしまうと、感染した部分を取り除くことでしか対処ができないのが厄介です。進行するほど、取り除かなければいけない部分は増え、最後は抜歯するしか方法が無くなってしまいます。
虫歯の怖さは痛みだけではありません。たかが虫歯と放置せず、早めの治療をお勧めします。

痛みは虫歯以外でもおこる
歯が急に痛み出すとまっ先に心配なのは虫歯の可能性ですが、歯の痛みは虫歯以外でおこるときもあります。

知覚過敏
冷たいもの、甘いもの、酸っぱいもの、熱いものなどがしみるときは、虫歯ではなく知覚過敏のことも多いです。知覚過敏は、何らかの原因で歯の神経が過敏になり、外部の軽い刺激で痛みを感じやすくなった状態。
原因は様々ですが、歯周病や加齢で歯肉がやせ、根っこの部分が露出してしまっていると歯がしみやすくなります。咬み合わせの問題で歯の歯肉近くに凹みができるくさび状欠損も原因になります。
それ以外でも、酸っぱいものの食べ過ぎで歯が溶ける酸蝕歯、強すぎる咬みしめによる咬耗や摩耗で神経が露出してしまった場合にも知覚過敏になります。知覚過敏は原因が様々なので、口の中の状態を調べて対処することが大切です。

歯の亀裂
何かがしみるのではなく、急激に歯が痛みだしたときや、硬い物を噛んだときに激痛が走るときは歯に亀裂が入っている可能性もあります。歯は非常に頑丈な組織ですが、硬い分だけ過度な力がかかったときには縦にヒビが入ってしまうことがあります。それが神経を刺激し炎症がおきると歯肉が腫れたり、ズキズキと激しい痛みがおこったりすることがあります。この場合は神経の治療が必要です。

関連痛・心因性
神経は全身でつながっているため、歯以外の場所でおこっている異常が歯の痛みとして感じられることがあります。歯に近い顎関節の不調や鼻の奥に膿がたまる副鼻腔炎(蓄膿症)、ひどい肩や首のコリなどの間連痛として歯がズキズキと痛むことがあります。また、実際には刺激する原因がないのに神経が興奮し、ある部位にひどい痛みを感じる心因性(ストレス性)の痛みが歯におこることもあるようです。

虫歯をくり返さないためには?

歯の痛みは本当に辛いですよね。進行してしまった虫歯は歯科医院で治療するしか方法がありませんが、2度と同じ痛みは感じたくないものです。せっかく頑張って治療をした後には、ぜひ予防歯科に取り組んでみてください。

虫歯はただ毎日歯磨きをしていれば防げるというものでなく、個人個人の状態に合った方法でお手入れが大切です。虫歯のなりやすさは、歯質、唾液の状態、口内の細菌バランス、生活習慣などによって異なります。効果的な予防のためには、まずは自分の状態を知ること。虫歯になってしまった原因をトータルに考えること。予防歯科では、個人の状態に合わせたブラッシング指導やアドバイスも受けられます。唾液検査や虫歯リスクを調べる検査を行っているところもあります。

そして、虫歯悪化の最大の原因は毎日の磨き残しによるプラークの蓄積です。どれだけ頑張って歯磨きに取り組んでも、やはり自分での手磨きだけでは限界があります。半年に1回くらいのペースで健診と歯科衛生士さんによるクリーニングを受ける習慣を取り入れてみましょう。虫歯は、予防・早期発見・早期治療が何より大切です。