2018年11月06日
予防歯科

虫歯になる前の受診が大切!?予防歯科のメリットと効果の紹介!

虫歯になる前の受診が大切!?予防歯科のメリットと効果の紹介!

日本という国は、定期検診や予防歯科に対する関心や意識が低いようです。予防歯科に国家的に力を入れているスウェーデンなどに比べると、70歳の時点で残っている歯の数に約5本もの差があるという結果も出ています。
では、日本人が関心の低い予防歯科にはどのようなメリットがあって、どのような処置をするのかご紹介していきましょう。

予防歯科のメリット

・歯科医への恐怖心が生まれない

一度歯医者で苦痛を味わった人の中には、虫歯の痛みが耐えられないような状況になるまで歯科医を受診しないなどという人もしばしばいます。予防歯科を大切にして虫歯を早めに処置することで、歯医者=苦痛というイメージが作られず、積極的に歯医者に通えるようになるのです。

・虫歯や歯周病を早期発見できる

定期的に歯科医を受診して検査を行っておけば、初期段階の虫歯や歯周病を見つけて治療することができます。早期の治療であれば歯へのダメージも少ないため、歯の寿命も長くなります。

・医療費が抑えられる

虫歯が神経付近まで進行すると、抜髄や神経温存のための根管治療が必要になります。また、歯を失ってしまった場合はインプラントなどの処置も必要になってきます。しかし、それらの治療費が非常に高額となることもありますから、日頃から予防歯科を心がけておいた方が歯にかかる金銭的な負担は少なくなるのです。

予防歯科の内容

お次は、予防歯科で主に行われている内容についてご紹介いたします。

・定期検診
定期検診で一つ一つの歯の状態を確認してくれます。これにより、虫歯の早期発見にも繋がります。

・ブラッシング指導
使用する歯ブラシの種類や磨き方によっては、せっかく歯を磨いても汚れが取れていないことも。ブラッシング指導では、個人個人に合った歯ブラシの選び方や、効果的な使い方などを指導しているため、将来的な歯の健康の維持にも役立ちます。

・PMTC
PMTCとは、専門の器具を用いて行う歯のクリーニングのことです。歯磨きでは落とせないような歯垢や歯石を除去し、歯の表面の汚れを落としてツルツルに研磨することで、菌の付きにくい状態を作ってくれます。

・フッ素塗布
フッ素を歯の表面に塗布することで、歯の再石灰化を促します。また菌の繁殖も抑えてくれるため、虫歯にもなりにくくなるのです。

・かみ合わせのチェック
かみ合わせが悪いと、顎関節症や頭痛、肩こりなど、体に様々な悪影響が出ます。
自分のかみ合わせが正しいかを予防歯科で確認し、必要があれば矯正歯科等で改善していくことで、体全体の健康にもつながるのです。

歯科医を受診した際に予防歯科を進められても、内容やメリットを知らないとなんとなく気が引けることもありますよね。しかし予防歯科には、虫歯になってからの治療よりもメリットがたくさんあります。ぜひ、早めの予防歯科に取り組まれてみてはいかがでしょうか。

予防歯科に踏み出せない理由は?

ご紹介した通り、予防歯科のメリットには様々なものがあります。受けてみたいなと感じている方も多いのではないでしょうか。けれど、そう思いながらも「よし、予防歯科を受けに歯医者へ行こう!」と行動にうつすのはなかなか難しいものですよね。
あるアンケートでは、歯や口の健康に関心がありながら、定期検診に通っていない人の理由には以下のようなものがあげられています。

・どこに行っていいかがわからない
いざ歯医者に行こうと思っても、虫歯の治療にだけ行っていたり、長いこと歯医者に行っていなかったりすると、「予防歯科ってどこで受けたらいいの?」と迷うかもしれません。予防歯科への取り組みはどこも同じというわけではないため、まずは近隣の歯科医院のホームページなどで予防歯科への取り組みを調べてみましょう。予防歯科では歯科衛生士の役割が大きいので、歯科衛生士がいる歯科医院を選ぶことをお勧めします。
歯科の予約サイトでは、「予防歯科に積極的」などの条件やキーワードによる検索もできます。

・通うのが面倒
仕事や育児で忙しい方の場合は、やはり通う時間がネックになるようです。しかし、虫歯や歯周病が悪化する前の予防歯科は3カ月~半年に1回程度のペースです。大きな問題の無い方は半年に1回が通常です。予防対策をせず虫歯や歯周病が悪化したときの方が、治療にかなりの回数や時間がかかり、仕事や育児にも差し障ってしまいます。忙しい方ほど自宅でのケアも怠りがちになるので、半年に1回の健診やクリーニングの習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。
育児中の方にはキッズスペースなどがあり、子どもさんと一緒にお手入れを受けられる所もあります。自分の歯には無頓着でも、子どもさんの歯の健康を気にされるお母さんは多いのですが、一番の方法はお母さん自身が積極的に予防へ取り組んでいる姿を見せることです。この機会に親子で予防歯科に取り組んでみましょう。

・虫歯になっていないのに歯医者へ行っていいのか不安
ひと昔前には「歯医者は虫歯を治す所」というイメージが強かったので、「虫歯になってもいないのに歯医者に行っていいの?」と感じる方も多いようです。けれど、現在は「虫歯や歯周病を予防するため・早期発見するために通う」ことがとても重視されています。
虫歯は初期の段階では痛みや目に見える変化がありません。歯周病も同じです。自分では虫歯や歯周病なんか無いと考えていても、実際に検診を受けてみると初期虫歯や歯周病が見つかることも珍しくはありません。また、治療済みの歯も二度と虫歯にならないわけではなく、むしろ他の歯より再度の虫歯になるリスクが高いのです。
はっきり虫歯や歯周病の自覚が無くても、口臭が気になる、歯肉から血が出る、歯がうずくように感じる、物がしみるなどの症状があれば、お口に何かトラブルが生じているサインです。激しい痛みが出る前に歯科医院を受診してみましょう。

・歯医者が苦手
歯医者が苦手という方は非常に多いです。子どもの頃に受けた痛い治療が忘れられず、歯医者=怖い場所の法則がしみついてしまっていることが多いようです。けれど、そういう方にこそ予防歯科を強くお勧めします。初期の段階での虫歯治療はほぼ痛みを感じませんし、早めに発見されれば削らず治療することも可能です。それに、昔と比べると麻酔や治療技術が進化しているため、痛みを感じる割合は確実に減っています。
予防歯科に通う習慣ができ、口内環境が良くなってくると、歯医者は怖い場所からお手入れをするサロンのような感覚に変わります。歯医者が苦手→虫歯や歯周病が悪化するまで治療に行かない→治療が大変でますます歯医者が苦手になる→…の悪循環をどこかで断ち切りましょう。痛みへの取り組みについてもホームページで紹介している所もあります。

予防歯科で身近な悩みが改善?

予防歯科最大のメリットは虫歯や歯周病の進行を防げることです。しかし、それに加えて嬉しい効果がついてくることも。予防歯科の2次的効果をご紹介します。

・口臭が改善される
お口の悩みで世代を問わず多いのが『口臭』です。最近は口臭対策グッズに様々なものが売られていますが、口臭の原因は人によって違うため、まずは原因を知らなければ効果的な対策を行うことができません。口臭の原因として一番多いのは、口内環境の悪化です。毎日しっかり歯磨きをしているつもりでも、歯並びの悪い部分やすき間に汚れが残り、それを細菌が分解して嫌な臭いのガスを発生させるのです。虫歯や歯周病が始まっているサインのこともあります。
そんな口臭は、歯医者で正しい歯磨きができているかのチェックを受け、日ごろの歯磨きを少し見直すだけでも変化します。自分で取りきれない汚れは歯医者でクリーニングを行うのでスッキリ。虫歯や歯周病を予防するための予防歯科の取り組みは、口臭を防ぎ、清潔な口内環境を保つためのケアでもあるのです。口臭の8割は口内環境の問題と言われています。
歯医者や自宅でできるケアをしても口臭が改善されない場合は、内臓や精神的ストレスなどに関わる口臭の可能性があります。まずはお口の問題を解決しておけば、口臭の原因が絞れて対策が立てやすくなります。

・歯が綺麗になる
口臭と並び、多くの方が気にしているのが歯の色です。歯の黄ばみや黒ずみに悩む方は世代を問わず少なくありません。歯の着色の原因も様々なのですが、歯の表面に食べ物の色素が染みついたり、タバコのヤニで汚れてしまったりしているような場合は、クリーニングでだいぶ綺麗になることがあります。予防歯科で行うクリーニングには歯の表面を磨くことも含まれるので、結果的に本来の歯の色が蘇り綺麗になります。
クリーニングをしても変わらない歯の黄ばみは、生まれ持った歯質や年齢による変化が主な原因です。黒ずみは神経や薬剤の影響が関わることもあります。クリーニング後にやっぱり歯の色が気になるということであれば、ホワイトニングや他の治療法が検討されますが、無理にすすめるようなことは通常ありません。

なぜ予防歯科がクローズアップされているか

現代は全世界的に予防歯科の重要性がクローズアップされています。日本でも、厚生労働省が予防歯科の促進にかなり積極的な姿勢を見せています。なぜそこまで頑張って皆さんに予防歯科を受けてもらおうとしているかと言うと、口の健康と全身の健康は密接につながっていて、高齢になっても残っている歯の本数が多いほど健康状態も良く、医療費の負担や介護の必要が少ない方が多いからです。
歯や口内環境については、ある程度は生まれ持った体質も関わるため、一生懸命努力をしても虫歯や歯周病になってしまうことは残念ながらあります。しかしながら、弱い方ほど予防をするかしないかで大きな差が生まれます。
インプラントや高性能な入れ歯が開発されても、それにはお金がかかり、土台である骨までが減ってしまうと簡単に治療が行えません。
予防歯科は、1人でも多くの方に健康で豊かに年齢を重ねてほしいという全世界的な取り組みの1つです。始めるのは早い方がいいので若い方にも頑張って取り組んでいただきたいのですが、何歳からでも遅すぎることはありません。自分の歯で噛んで食べられる幸せや美しい口元を保つためにも、予防歯科の習慣を取り入れてみませんか?