2017年07月10日
審美歯科

差し歯の寿命

差し歯の寿命

「差し歯」はむし歯などで大きく歯が欠け、根の治療までが必要となったときの治療法で、支柱と被せ物が一体になったものを残った歯の根に差す方法です。

以前は多くのケースで差し歯が使用されていましたが、現在は支台と被せ物を別々に取り付ける方法が主流で、従来の差し歯はほとんど使用されなくなりました。

ですが、歯の根を治療した後の修復方法という意味で、現在の治療法も従来と同じ「差し歯」という言葉で表現することがあります。

従来の差し歯と現在の治療法の寿命は異なるのでしょうか?

差し歯とは

差し歯は、「ポストクラウン」とも言います。「ポスト=支柱」「クラウン=冠・被せ物」の意味で、被せ物のクラウンと内部でそれを支える支柱のポストが一体になったもののことです。これを治療済みの歯の根っこに差して使うことから、一般には「差し歯」の名前で呼ばれています。

たまにインプラントと混同されている場合がありますが、インプラントの方は根っこごと歯が抜けてしまったときや抜かなければいけなくなったときの治療法で、人工歯根を直接顎の骨に埋め込みます。一方、差し歯は、根は残っているものの上部の歯冠がほとんど失われたときの治療法で、自分の歯の根はそのまま残せます。その代わり、根の神経を処理し、その後に十分な掃除と消毒をしてから行わなければいけません。

差し歯があまり使われなくなった理由

以前は、むし歯などで大きく歯が欠け、根っこの治療までが必要になったケースでは、差し歯で治療をするのが一般的でした。ところが、差した支柱ごと抜け落ちてしまう恐れがあったり、歯の根に力が加わり割れやすくなったり、そうなったときの再治療が難しかったりするデメリットが目立ったため、だんだんと行われないようになりました。そして、健康保険制度の取り扱いも変更され、現在では従来型の差し歯が新たな治療の選択肢となることはほとんどありません。

差し歯の代わりの治療法

従来型の差し歯に代わる治療法として、根っこの治療後にコアと呼ばれる支台を建て、その後に被せ物をするという方法が現在では主に取られています。昔の差し歯に比べれば抜けるという可能性は低く、被せ物が破損した場合も修復がやりやすくなります。本来この方法は従来型の差し歯とは異なりますが、根を治療した後の修復方法という面で、これまでと同じ「差し歯」という呼ばれ方をしていることがあります。

差し歯と現在の治療法の寿命

従来型の差し歯は、比較的早い段階で抜けてしまうというケースもありました。ただ個人差はあり、昔入れた差し歯を長年使い続けている人もいますが、全体でみるとやはり寿命が短い傾向があったようです。

一方、現在のコアを使った治療では、その素材や状態によって大きく寿命は異なります。コアの種類には、保険内の金属、プラスチック、強化型ファイバー、ゴールドなど様々なものがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。素材の耐久性自体はゴールドなどが優れるものの、根っこの状態や方法によっては根そのものが使えなくなり、抜歯をしなければいけなくなるケースもあります。

差し歯の寿命は個人差が大きく、保険内で最初に入れた差し歯が長年使える人もいれば、自費のコアや被せ物を使った部分の再治療が早い段階で発生することもあります。

治療法や素材を選ぶ際には将来的な部分も含め、歯科医師とよく相談するようにしましょう。