2017年10月30日
一般歯科

知覚過敏用歯磨き粉 シュミテクト

知覚過敏用歯磨き粉 シュミテクト

日本でもすっかりおなじみになった知覚過敏対策用歯磨き粉の『シュミテクト®』。海外では『Sensodyne®(センソダイン)』 という名前で親しまれている世界的な人気ブランドです。

シュミテクトとは?

『シュミテクト®』は、英国に本社を持つ大手製薬会社のグラクソ・スミスクラインのヘルスケア部門/グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパンが開発・製造している知覚過敏対策の歯磨き粉。日本での販売は、アース製薬が請け負っています。

日本でシュミテクト®が販売され始めたのは1992年。それ以来様々なバージョンが進化し、知覚過敏対策用歯磨き粉としてはNO.1の人気ブランドです。

今は、どこのドラッグストアやスーパーに行っても、必ずと言っていいほどシュミテクト®のシリーズは並んでいますよね。

シュミテクト®の効果・効能と注意点

シュミテクト®の使用が向いている人は、「知覚過敏によって歯のしみやすくなっている人」。虫歯があるわけではないのに、冷たいものや酸っぱいものが歯にしみたり、時々「ピリピリッ」とした痛みが走ったりする状態をやわらげ、「歯がしみるのを防ぐ」歯磨き粉です。

そんな知覚過敏対策に加え、全シリーズを通して歯質を強化するフッ化ナトリウムが配合されているので、虫歯予防の歯磨き粉としても使えます。現在はその他に、歯周病対策、着色汚れ(ステイン)対策、酸蝕歯対策などが同時に行える様々なバリエーションが販売されています。

※使用時の注意点

シュミテクト®は「歯がしみるのを防ぐ」とは言っても、その原因が虫歯、歯周病、歯の神経の炎症、外傷などによるものの場合には効果が期待できません。シュミテクト®はあくまで、そのような原因が見当たらないのに歯がしみてしまう知覚過敏対策の歯磨き粉です。

知覚過敏以外の歯がしみる原因としては、

・虫歯
・歯周病
・歯や詰め物にヒビが入っている
・歯の神経や周辺組織の炎症
・歯ぐきや口内の傷

など、様々なものが考えられます。知覚過敏以外が原因となっている際には歯医者さんでの治療が必要ですので、歯がしみる状態が続く場合は自己判断をせず、歯医者さんでチェックしてもらいましょう。

シュミテクト®の主な成分

シュミテクト®は、「歯がしみるのを防ぐ」という効果・効能を表記することのできる薬用(医薬部外品)歯磨き粉です。薬用歯磨き粉とは、何らかの効果・効能を厚生労働省によって認められた有効成分が規定量含まれたもの。シュミテクト®に使われているのは、「硝酸カリウム」という有効成分です。

硝酸カリウムには、歯の表面にイオンコーティングをし、神経への刺激の伝達を伝わりにくくする作用があります。

また、全シリーズを通し、歯質を強化し虫歯を予防するフッ化ナトリウム(フッ素の一種)が配合されています。

それに加え、歯周病対策が同時にできるタイプのものには、「グリチルリチン酸モノアンモニウム(炎症を抑える)、美白対策のできるものには「ポリリン酸ナトリウム(汚れを浮かし歯石の沈着を防ぐ」などの成分がそれぞれ含まれています。

記事の一番下に、現在販売中のシュミテクト®シリーズの一覧をのせています。
使用目的や好みに応じ、自分に合ったものを選びましょう。

知覚過敏とは?

知覚過敏は、歯の病気というわけではありません。虫歯や歯周病や外傷などの病気やケガが無いにも関わらず、なぜか歯がシミやすくなっている状態です。

症状としては、

・冷たいもの、熱いもの、甘いもの、酸っぱいものなどがシミる
・冷たい風が歯にあたっただけでシミることもある
・何かの拍子に「ピリピリッ」とした痛みが走ることがある

など、飲食や物理的な刺激によって歯がシミたり、突然激しい痛みが瞬間的におこったりするので、

・シミるのが怖くて食べられないものがある
・いつ痛みがおこるかわからずストレスを感じる

等の問題が生じ、知覚過敏に悩んでいる人は多いようです。

知覚過敏の原因は?

知覚過敏の原因にはまだはっきりと解明されていない部分があり、また、個人によって様々に異なる要因が絡んでいると言われていますが、大きな要因としては、

・口内に歯の象牙質の部分が露出すること(象牙質性知覚過敏)

があげられています。象牙質は歯を構成している一部ですが、通常は歯ぐきやエナメル質によって覆われていて、口内に露出することは無い部分です。象牙質の内側には歯の神経が通る歯髄(しずい)があり、象牙質の表面に開いている小さな穴(象牙細管)から神経に刺激が伝わる仕組みになっているため、象牙質がむき出しになっていると少しの刺激も神経へと伝わりやすくなってしまうのです。

象牙質は、歯の歯ぐきから出ている部分(歯冠)では、その外側には非常に硬く白いエナメル質が覆っています。歯ぐきより下の歯根の部分にはエナメル質が無いため薄いセメント質しか象牙質を覆うものがありませんが、歯ぐきがしっかりとしていて健康な状態なら、その部分には歯ぐきがピッタリとくっつき象牙質へ簡単に刺激が届くということはありません。

ところが、何らかの原因によって歯冠部のエナメル質がすり減ったり、歯ぐきが痩せて下がったりすると、象牙質に口内の刺激が直接伝わりやすくなり、内部の神経も過敏な反応をおこすようになります。

象牙質が露出する原因としては、

・加齢により歯ぐきが痩せてきた
・歯周病の影響で歯ぐきが歯から離れ、歯周ポケットが深くなった
・歯ぎしりや喰いしばりでエナメル質が摩耗したり、ヒビが入ったりしている
・強すぎる歯磨きでエナメル質がすり減ってしまった
・酸っぱいものの食べ過ぎでエナメル質が薄くなっている(酸蝕歯)

などがあげられます。

また、象牙質が露出すること以外で考えられている知覚過敏の原因としては、

・ホワイトニング薬剤の影響による一時的なもの
・虫歯など歯を削る治療での一時的なもの
・冷たいものなど刺激が強いものを食べ過ぎたこと
・全身疼痛や精神的な関連など歯科領域以外の原因

などがあげられています。

同じように歯ぐきが下がっている人でも知覚過敏の症状は様々で、必ずすべての人に現れるわけでは無く、反対に、健康な口内状態にも関わらず知覚過敏の症状を訴える人もいて、そのメカニズムは完全にわかっていない部分もあるようです。

知覚過敏は歯医者さんで治療できる?

歯医者さんでの知覚過敏の治療としては、歯がシミることへの対症療法として、象牙細管の入り口を防ぐ薬剤を歯に塗ったり、神経への刺激の伝達を防ぐ薬剤を使ったりする方法があります。

根本的な治療としては、そもそも何が原因で知覚過敏がおこっているかを知り、その原因を改善する必要があるでしょう。

歯ぐきの状態が悪いことで歯ぐきが下がり知覚過敏がおきている場合には、歯科衛生士さんによるプロクリーニングを受けるなどで状態が回復し、知覚過敏が改善するケースもあります。歯ぎしりや間違ったブラッシングや酸っぱいものの食べ過ぎが知覚過敏の原因なら、それらの習慣を治していくことが知覚過敏の改善につながります。

知覚過敏の予防と対策のために

シュミテクト®のような知覚過敏専用の歯磨き粉の使用は、自宅でできる知覚過敏対策の1つとしてあげられますが、それと同時に、

・歯ブラシはやわらか目を使う
・ブラッシングは優しい力で丁寧に行う
・酸っぱいものや甘いものを食べ過ぎない
・歯を喰いしばるクセがあれば治す
・歯医者さんで定期的なチェックやお手入れを受ける

など、歯ぐきや歯をできるだけ傷めないような生活習慣の心がけも大切です。

シュミテクト®のラインナップ

2017年10月現在・公式サイト調べ

※有効成分の「硝酸カリウム」(歯がしみるのを防ぐ)と「フッ化ナトリウム」(歯質を強化し虫歯を防ぐ)は全シリーズ共通で配合されています。

『シュミテクト®コンプリートワンEX』
・知覚過敏対策に加え、様々な働きが期待される複合タイプ
・グリチルリチン酸モノアンモニウム(歯周病予防)配合
・爽やかな香味で口臭予防にも

『シュミテクト®歯周病ケア』
・歯周病対策を強化したタイプ
・グリチルリチン酸モノアンモニウム(歯周病予防)配合

『シュミテクト®やさしくホワイトニング』
・ステイン除去強化タイプ
・歯の汚れを優しくはがし再接着を防ぐポリリン酸ナトリウム配合

『シュミテクト®フレッシュ&クリーン』
・スッキリ感をアップしたタイプ
・クールミントの長時間処方

『シュミテクト®デイリーケア』
・高濃度フッ素1450ppm配合で虫歯予防を重視
・6歳以下使用禁止

『シュミテクト®トゥルーホワイト®』
・研磨剤不使用で美白ケアができるタイプ
・ポリリン酸ナトリウム、PG400(ヤニ対策)配合

『シュミテクト®薬用デンタルリンス』
・ノンアルコールで低刺激
・液状でお口のすみずみまで届きやすい

『PROエナメル®やさしくホワイトニング エナメルケア』
・知覚過敏対策として「酸蝕歯」のケアに注目
・エナメル質を守りつつ美白も重視

『PROエナメル®マルチケアEX』
・知覚過敏対策として「酸蝕歯」のケアを重視
・虫歯対策や歯周病対策の日常ケア用としても